経済ってそういうことだったのか会議

経済の素人と気鋭の経済学者による、「経済とは何だ」というテーマについての対談集である。素人側には「だんご三兄弟」「ポリンキー」などを手がけた広告クリエーターの佐藤雅彦氏。学者側には大蔵省、ハーバード大学などを経て、現在は慶応大学教授の竹中平蔵氏。対談形式という気軽さも手伝って、経済に無縁の人でも十分に読みこなせる1冊となっている。
何と言っても、聞き手は広告業界で一流の人である。短時間に大切なメッセージをいかにわかりやすく伝えるかを追求するプロフェッショナル。そんな佐藤氏の質問は、シンプルかつコンパクトでありながら、ぐいぐいと事の真髄に迫っていく。対する竹中氏は、たとえ話を織り交ぜながら、明快に答えている。
「お金って何?」という素朴な疑問から始まる第1章「お金の正体」を読むだけで、読者は「経済」をぐっと身近に感じるだろう。第3章「払うのか、取られるのか」は税金の話である。多くの日本人(特にサラリーマン)にとって実感の薄い税金こそが、民主主義の根幹をなすものだと改めて教えられる。第4章「何がアメリカをそうさせる」は、経済のみならず文化、歴史的背景を掘り下げており、アメリカ文化の影響下にある日本人には興味をそそられる話題である。

経済学の入門書としてすごく示唆に富んだ内容で、経済と生活、労働、政治の結びつきが読み進めるにつれてわかってきます。学生さんから社会人、主婦などなど色んな人にオススメです。以下読書メモ。


■経済学とはなにか?
エコノミクス=ギリシャ語のオイコノミクス=共同体のあり方


■お金の3つの役割
1.価値尺度
2.交換手段
3.貯蓄手段


■税の3原則
1.簡素
2.公平
3.中立


■要素還元主義と複雑系
・要素還元主義:単純化、抽象化した欲望の塊としての人間=経済合理的人間(ホモ・エコノミクス
複雑系:要素還元主義への一種のアンチテーゼ、複雑なものを複雑なものとして捉える考え方

⇒このへんコミュニティーのあり方と関わってくるかも。本来コミュニティーが担ってきた多様な機能(老人の世話とか近所付き合いとか)を単純化された経済合理性で保管することが本当にベストなのかとか。(老人ホーム、家の警備サービス、教育etc…)これから高税率、高福祉の方向に世の中が進んでいくことは間違いないだろうが、結果としてみんなハッピーでないという状況になりそう。


■通過統合までの5つのステップ
1.自由貿易圏:貿易障壁の撤廃
2.関税同盟:圏外への関税共通化
3.市場統合:カネとモノの移動の自由化
4.経済の統合:許認可の統合(医薬品など)?
5.通貨統合

⇒ある程度経済の発展度合いが同じで文化的に近い地域(ヨーロッパ)を前提においた理論。アジア圏では前提条件がバラバラなので適用は難しい。


■世の中は自分の目で見ろ

「大きな会社じゃない社長でも大企業の部長に比べたら全然世の中を見ている。それはリスクを負っている人の真剣さですよね。」

「「世の中」こうなってるっていうように、世の中的な意識がすごく強いですよね。そうすると、「世の中に対して、何が足りないか」っていうのを試みてやってるんですよ。すごく面白いですよ、そういう意味では。」