赤めだか

赤めだか

赤めだか

サラリーマンより楽だと思った。
とんでもない、誤算だった

立川談春、17 歳で天才・談志に入門。笑って泣いて胸に沁みる、「家族以上」の師弟関係。そして強く立つことを教えてくれる。落語家前座生活を綴った、破天荒な名随筆、ついに発売。

巷で話題の立川談春師匠のエッセイ集。TBSラジオのストリームでプッシュしていたので購入して読んでみました。図書館で借りようと思ったら予約待ちが3桁オーバー、かなり売れてるらしいっす。

BCGの太田パートナーも絶賛。私も一気に読んでしまいました。
http://blog.goo.ne.jp/kozatori7/e/677d9964a49601f91faf2f259c44c1da


太田さんが引用されている箇所は以下。談志師匠の言葉を引用して。

よく芸は盗むものだと云うがあれは嘘だ。盗む方にもキャリアが必要なんだ。最初は俺が教えたとおり覚えればいい。盗めるようになりゃ一人前だ。時間がかかるんだ。教える方に論理がないからそういういいかげんなことを云うんだ。いいか、落語を語るのに必要なのはリズムとメロディだ。それが基本だ

進歩しているからこそ、チェックするポイントが増えるんだ

これだけ明快にコンサルティングについて自分は語れるだろうか?談春師のレンズを通して、改めて立川談志という天才の凄さを思い知った。

私が末席を汚しているコンサルティング業界は、ある意味、上司と部下の間に師弟関係のようなものがあると思います(どの職場にもあるかもしれませんが、より濃密かもってことで)。日々職場で上司の接し方、教え方に感じ入る身としては非常に深い言葉に思えました。


本書の端々で語られる談志師匠の言葉は、落語という言葉を扱う芸人さんの凄さを感じさせます。

寄席の席上で

『落語とは人間の業の肯定である』

冷蔵庫の残り物をぶち込みまくったカレーらしきものを著者に振舞って

坊や、よく覚えとけ、世の中のもの全て人間が作ったんだ。人間が作った世の中、人間にこわせないものはないんだ

師匠として

先へ、次へと何かをつかもうとする人生を歩まない奴もいる。俺はそれを否定しない。芸人としての姿勢を考えれば正しいとは思わんがな。つつがなく生きる、ということに一生を費やすことを間違いだと誰が云えるんだ

やるなと云ってもやる奴はやる。やれと云ってもやらん奴はやらん。

まァ、ゆっくり生きろ

著者に嫉妬とは何かを説いて

よく覚えとけ。現実は正解なんだ。時代が悪いの、世の中がおかしいと云ったところで仕方ない。現実は事実だ。そして現状を理解、分析してみろ、そこにはきっと、何故そうなったかという原因があるんだ。現状を認識して把握したら処理すりゃいいんだ。その行動を起こせない奴を俺の基準で馬鹿という。

仕事や勉強で悩んでいたり、今の自分の進む方向は本当にこれでいいのかって思っている方は読むといいと思います(私は今んとこどっちでもないですが)。秋の夜長にぜひどうぞ。名著です。