笑いの力

笑いの力

笑いの力

河合隼雄養老孟司筒井康隆による笑いをテーマとしたシンポジウムの記録本。
各人の講演と3人一緒のパネルディスカッションが含まれています。

河合氏の講演でいいこといっていたので抜粋。

人間というものは、ストレスを起こすように、人間の文化や社会をつくってきたんですね。(中略)だから、人間がこの世に生きてるということは、ストレスをもちながら、ストレスとの引き換えにいろんなことをやっているんですね。つまり文明といわれることをやっているんです。

そういうことを解除するための微笑みとか笑いというものが、生まれつきにあるのは、ぼくはすごいことだと思いますね。だから、自然の力というのはすごい。ストレスもためる代わりに、解除するほうの笑いも人間にはやりましょう、というわけです。だから、せっかくもらってる笑いですので、ほんとうに笑わなければ損だとぼくは思うのです。

こういう考え方は私好みです。社会の枠組みがちっぽけなものに見えるといいますか。

私は北杜夫氏が好きで散々彼のエッセイを読んでいるのですが、彼のエッセイに頻繁に出てくるのはユーモアに関してのものです。元来日本人には諧謔や風刺などのユーモア文化があったのに、明治時代に西欧化した反動でくそ真面目になってしまい、そうした文化が廃れてしまったというのは北氏も筒井氏も著作の中で述べています。

大学に長らくいると数々の馬鹿騒ぎを見聞せざるをえないですが、ユーモアやウィットに富んだものはどれだけあるんかいなというのが正直なところ。私個人としては飄々とユーモアをもって日々の生活を送って生きたいですな。