ファンドの時代
- 作者: 野口均
- 出版社/メーカー: 千倉書房
- 発売日: 2006/12
- メディア: 単行本
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最近話題のファンドの本。といっても村上ファンドやスティール・パートナーズといったグリーンメーラーまがいのものではなく、国内外を代表するプライベート・エクイティ(PE)ファンドと不動産投資ファンドについて書かれており非常に興味深い内容です。具体的な企業名を挙げると、
国内独立系PE
- アドバンテッジパートナーズ
- ユニゾンキャピタル
- MKSパートナーズ
外資系PE
- カーライル
- リップルウッド(RHJ)
不動産投資
が本書で取り上げられています。国内銀行系、証券系の企業はあまり登場しません。
PEの場合、企業を一旦買収しその後(再)上場、もしくは他社への売却をもって収益を上げる事業構造。不動産投資の場合も似たような事業構造で、買収した不動産の収益を債権化し不動産投資信託(Jリート)として上場させるか他社への売却により収益を得ます。どちらのビジネスモデルにおいてもファンド組成者が投資家を巡って運用資金を募り、金融機関からの借り入れで財務レバレッジを利かせた上で大規模な案件、もしくは複数の案件への投資を行っていく点は共通です。
こうしたビジネスが注目されるようになったのは以下のような点が原因として挙げられると思います。
- バブル経済の崩壊で多くの大企業が経営破綻し、再生、解体などの新たな道を模索せざるをえなくなったこと。
- 政府が政策を転換し、護送船団式の金融システムを取り払い、規制を大幅に緩和したこと。
- 経済のグローバル化が進み、企業間競争が激化する中、様々な業界で再編、統合が必要とされていること。
- アメリカ的なビジネスエリート(コンサルティング、投資銀行出身者、MBA取得者)が日本にも現れだしたこと。
- 金融技術の高度化が進んだのに加えて間接金融から直接金融への移行が進んでいること(?)
- 年金基金、大学基金、生命保険会社など機関投資家の資金がポートフォリオの一部として流入したこと。
これからの日本においてこうしたファンド(特にPEファンド)というのは一定の存在感を持って変革者、統合者として受け入れられていかざるを得ないのではないでしょうか。インドや中国といった新興国台頭などの国外要因に加えて、少子高齢化、人口減少による国内要因も大きな変数としてこれからの日本経済に影響してくると思います。そんな中、より効率的でより創造的な経済の営みを行っていくためには、少々強引であろうとこういったファンドの力というのがドライバーとしての大きな効果を持つと思います。
ユニゾンキャピタル社是(チャールズ・ダーウィン)
It is not the strongest of the species that survives, nor the most intelligent that survives.
It is the one that is the most adaptable to change.