ちぐはぐな身体 ファッションて何?

ちぐはぐな身体―ファッションって何? (ちくま文庫)

ちぐはぐな身体―ファッションって何? (ちくま文庫)

親父がくれた本。著者は哲学者で大阪大学次期学長。

私はファッションにはほとんど興味がなく、せいぜい記号的な認識しかしていません。周りが不快に思わなければなんでもいいという考え。(自分ではそれもできてないかもしれんですが)
なので思想的な側面からファッションを論じるというのは新鮮な考え方だと思いました。が、そこまで深刻に考えてどーするんだという感じもします。人文系の学問というのはそういうものなのかもしれませんが。

自己の身体というものを実体としてではなく断片的なイメージの集積として捉え、衣服をその延長に位置づける。そういう考え方もできるなぁという感じ。


あとがきより

「みえてはいるが誰れもみていないものをみえるようにするのが、詩だ。」

長田弘さんという詩人のことば。著者は哲学の定義としてもあてはまるとしています。
芸術や学問としての文章化ではないのでちょっとこの文意とは外れますが、現代の社会というのは色々なものが可視化されたり言語化されたりして便利で効率的な反面、何となく息苦しい感じがします。あらゆる事象が言葉や数字で定量化、定性化され、比較考量の対象とされていくのは基本的に経済効率の面や、競争の促進という意味で有効だと思いますが、情緒的にはなんだかなぁという思いもあります。とりとめのないことを思い巡らせたりして、これが哲学書ってやつかね。