メイク・マネー!―私は米国投資銀行のトレーダーだった

メイク・マネー!―私は米国投資銀行のトレーダーだった

メイク・マネー!―私は米国投資銀行のトレーダーだった

日本がバブルに浮かれていたころウォール街で最強の投資銀行といわれていたソロモン・ブラザーズ
その日本法人に勤めておられた方の本です。これは非常におもしろい本だった。おすすめです。

バブルのころの日本がいかに異様だったかというのがわかるし、現在の投資銀行のイメージとはかけ離れたソロモン・ブラザーズという会社がおもしろい。金融業界では著名なトレーダー明神茂氏や著者の上司として登場するN証券出身のK氏などなど当時のソロモンのみょうちくりんな感じがまともな会社ではないことをうかがわせる。(色々あって今は日興系の会社になっているはず。)

著者の末永氏は東大卒で官僚の道から大幅に逸れてソロモンに入社。氏はトレーダーとしても非常に優秀な方で若くして高いサラリーを手にしている。仕事をして金を稼ぐとはどういうことかというのが非常に冷めた視点で描かれていて考えさせられる場面もある。

やっとこさ好況といわれる現在から時間軸をさかのぼって考えることでわずかながらではあるが時代のコンテクスト、パターンというものが見えるような気がする。再び往時のようなバブルの狂乱が訪れることはないと思うが現在活況を呈している業界もいずれはまた失速し多くの人々がそれに翻弄されるのだろう。世は諸行無常である。