文・堺雅人

文・堺雅人

文・堺雅人

主演している南極料理人見て読んでみた。淡々とした本だ。自分用メモ。

結局のところ、我々があらかじめ準備できる範囲なんてたかがしれているのだ。経験不足をなげくよりは、あわてて準備をはじめるほうがよっぽどいい。

おおくの場合、インスピレーションは「こまかく、まばらに」やってくる。大物はめったにこない。天才になれる瞬間もなくはないけれど、それだけではとても演技のすべてはカバーできない。ちょうど、かぎられた挽肉でハンバーグをつくるようなものだ。手にはいる挽肉の量は日によってまちまちだが、つなぎや調理法を工夫して、なんとかハンバーグとよべる代物にしていくのである。

そーそーそーそー。挽肉が毎日毎日たっぷりあるわけではないんだ。

「三十すぎると運命の出会いはない」〜ある程度の年齢になれば、自分をガラリと変えてくれるような出来事を他人に期待するのは、いささかムシがよすぎるということだろう。

フフフ・・・。かなしいこというなよ。

われわれの仕事は「わかる」と「わからない」のあいだをいつもユラユラゆれうごく。正直にいえばどんな作品にだって、わかる台詞とわからない台詞があるのだ。こわいのは「わかる部分だけをみて全部わかったつもりになること」あるいは「わからない部分だけをみて全部あきらめてしまうこと」なのだろう。

人生ですね、そうですねと。