田宮模型の仕事

田宮模型の仕事 (文春文庫)

田宮模型の仕事 (文春文庫)

模型の世界ではいわずと知れた田宮模型の本。会社の黎明期から現在までの軌跡を社長さんが綴っています。
某ブログを見ていて記事を発見し、つられて読んでみました*1

日本といえば自動車、家電のような企業がトップランナーのようなイメージがあるけれど、こういうタミヤのようなホビーの会社も世界のトップクオリティーとして認められているというのは驚きでした。僕の中では小学校のときのミニ四駆ブームのイメージが強烈だったもので、てっきりドメスティックな会社かと思ってました。ツインスターは世界で通用するロゴらしいっす。

読んでいて思ったのはお客さんとしてのマニア層と一般層のこと。精巧なタミヤの模型が、マニア層だけのものになってしまうことを懸念した俊作社長は、もっと子供たちの目線に立ってものを作れないかと思案し、ミニ四駆を開発したわけですが、これは他のホビー・エンターテインメント産業にも関わりのあることのように思われます。闇雲にマニア層だけのために商品を作っていても、いずれそのマーケットは蛸壺化し、人もお金もだんだんと回らなくなっていくと思います。どうやって新規のお客さんに来てもらうか、商品のよさ(深み)を殺さずにエントリーの敷居を低いままに保つか、ということの大事さを改めて感じさせてくれた本です。「イノベーションのジレンマ」みたいな話に通じるものがあると思います。(最近だとPS3Wiiの比較とかね)*2

こういう本を読むと久々に模型屋さんに行ってみたくなります。ちなみにタミヤでは五月に本社を公開しているもよう。仕事が始まる前なのでいってみようかと考え中です。