フラット化する世界

フラット化する世界(上)

フラット化する世界(上)

フラット化する世界(下)

フラット化する世界(下)

やっとこさ上下巻読了。あわせて800Pちょいあるさすがの大著。
内容はざっと以下の通り。

  • 世界がいかにフラット化したか、またその要因は何か(ざっと挙げると冷戦の終結、インターネットの発明・普及、ITツールのコモディティ化、それらに伴う仕事のグローバル分業体制の確立など)。
  • 新興国の経済的勃興で世界的な労働マーケットでの競争が加速する中、先進国の人間はどのような教育を施されるべきであるか、どのような職種を選択していくべきか。(アメリカの事例、科学教育の重要性について)
  • 激しい変化の中、政府、自治体、企業はどのように対応・改革していくべきか。
  • フラット化する世界で取り残されていく地域、文化圏(イスラムテロリズムについてがメイン)と国際関係論的な考察

綿密な取材に基づく著者の考察は洞察力に富んでおり非常におもしろく読めます。これからの日本にあてはまるであろうことも多く、多大な示唆を与えてくれる本です。難点を挙げるとするなら、アメリカ的思考様式、アメリカ中心に書かれているので全部をそのまま鵜呑みにするのはよろしくないと思われます。特に終盤のフラット化の阻害要因としてのイスラム原理主義について書かれている章は少し違和感を感じてしまいました。物事を整理しすぎのきらいがあるんではないでしょうか。

全体としては世の中で高い評価を受けているだけあって素晴らしい内容だと思います。あまりに生活水準の高い日本に暮らしてほうけた頭を修正するには良い本です。