ウェブ時代をゆく −いかに働き、いかに学ぶか

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)

梅田望夫さんの新刊。読んでから1週間くらいほっぽっていたので内容を忘れないうちに感想を書いておきます。さんざんっぱら色んなところで色んな感想が出ているので細かいのはぬきで。ちゃんとした書評は毎日jpでもご覧ください。

ウェブ進化論」が現在進行している変化を著した本なら、本書「ウェブ時代をゆく」はその変化の中でどうやって暮らしていきましょかという本です。内容的には基盤となるマインドセットオプティミズム、あちら側とこちら側観など)を踏まえた上で「高速道路」と「けものみち」、「ロールモデル思考法」といった考え方のモデルを提示してどうよ?みたいな感じ。個人的には読後に少々もやもや感(そうは言うけどなぁ感)が残りました。以下感想。

一つ目。

読んでいて思い出したのは「私の知的生産の技術」(「知的生産の技術」研究会編、30年前の本です。)の中で小室直樹氏が言及していたサムエルソンの学問間落差利用論です。ノーベル経済学者のポール・サミュエルソンの業績の秘訣について質問された氏は以下のように答えています。

学問というものは進んでいるものもあればおくれているものもある。それは世界歴史に似ていまして、よい仕事は未開社会にあります。たとえば、西部劇を見ていますと、テキサスの石油堀が出てきて大成功を収めますね。また、金鉱を探しあてる者。これも西部ならではであって、ニューヨークではできません。(中略、未開社会には危険がいっぱい、だから文明の落差を利用すればよろしいという趣旨の発言をして)いってみればサムエルソンは機関銃でインディアン狩りをしたのと同じになるわけです。まず、はじめに数学と物理学の勉強をした。その学力をもって経済学をやった。理論物理学の相互関連式をもとにして経済理論をつくったのです。 134-135p

現在の文脈に連ねて考えると、ネットやITというのはここでいう機関銃的な側面があると思います。スケールフリーなネットワーク、ほぼ無限に存在する情報といったような、こちら側とあちら側の落差を利用することで、個人や団体は大きな進歩を遂げることができる可能性があると考えられます。この点から考えるとやはりまだまだ世の中に大きな変化が起こりうるだろうし、そうした中で若い世代が様々な変革を牽引していかなければならないと思います。

二つ目。

梅田さんが提示した「けものみち」、「ロールモデル思考法」に関して。来年から外資系の怪しい会社に就職する私としては大いに参考になります。常に未来志向で目標を持ってサバイブしなければ、実家で田んぼを耕すことになり申す。

今のところの私のポリシーは

  1. 好奇心を開放する(何でもかんでも興味のあることはやってみる。体験と行動を重視。)
  2. 出会いをできるだけ大事にする(人間関係、本、モノなど諸々。そうすることで好意やリスペクトが連鎖していけばいいなぁというネットワーク科学的な考え方。)

といったところです(今置かれているのがかなり自由のきく立場なので悠長な考え方かもしれませんが)。こういうベースの上で自分なりのやり方で上記のような考え方を取り入れていければと思いました。


本書は私と同年代(20代前半)の人にとっては、なんとなく進むべき方向性を示してくれるんではないかと思います。でもなんだかもやーっとしますが。それがなにかは別途思考が必要ってことで。