ムハマド・ユヌス自伝

ムハマド・ユヌス自伝―貧困なき世界をめざす銀行家

ムハマド・ユヌス自伝―貧困なき世界をめざす銀行家

連休でぼけた頭を元にもどすためにちょっとボリュームのある本を。350Pちょっと、少々骨が折れました。
この間ノーベル平和賞をとったバングラデシュの銀行家、経済学者であるムハマド・ユヌス氏の自伝です。

Wikipedia-ムハマド・ユヌス

バングラデシュについてはパキスタンから独立した国ということくらいしかしらなかったのですが、天災や政治不安などもありかなりの貧困国で食料、衛生、教育等々問題山積みらしい。イスラム教の国ということもあり宗教的な因習、制約が色濃く残るバングラデシュで、社会的立場が低い女性のためにマイクロクレジットという無担保小額ローンのシステムを作って自営による経済活動を推進し、貧困を撲滅しようとしている氏の活動について書かれています。

私が気になったのは先進国、国際機構からの援助が正常に機能していないこと。バングラデシュのような国では政治機構自体が上手く機能していないため、そういった援助が市井の人々のところに降りてくるまでに、国の官僚機構や国際問題コンサルタント政府系金融機関など様々なしがらみがあり、中々上手いこといかないとのこと。役人の権益確保の問題、賄賂の問題もあり一朝一石には解決できない問題のようです。

世界銀行がそういった国際融資を行っているのですがインフラや開発などがメインで貧困に対しては現場レベルでの効果的なノウハウがそれまでなかったとのこと。この本が書かれたのが1998年なので現在は改善されてきているのかもしれませんが。
昨年読んだスティグリッツの本でグローバリゼーションに絡めてIMFが批判されていたように思いますが、市井から見れば何でも解決できそうな国際機関でも、それぞれの国家の思惑や大官僚組織としてのしがらみが色々あるようです。現在マイクロクレジット活動は北米、南米、アジアなど様々な地域で貧困対策はもちろんのこと過疎化や高齢者の自活など色々と応用されつつあります。

普段の生活でこうした貧困の問題を考えることはあまりありませんが、将来的に何らかの形でコミットできたらと思いました。その前に一人前にメシを食えるようにならないといけませんが。